かなでる名盤⑰ ~愛ゆえに~
音楽好きの当社代表が、不動産と同じ熱量を持って音楽を語るブログ「かなでる名盤」。
所有CDアルバムから定期的にご紹介させていただいております。
息抜きがてら、当社ブログでゆっくりしていってください。
今回取り上げるアルバムは
10CC『愛ゆえに』(77年発表)です。

まず、『愛ゆえに』という邦題がいいですね。なんともいえない余韻を含んだ美しい日本語。洋楽のアルバムって「なんでその邦題になった!?」と首をかしげたくなるものもありますが、アルバムの持つドラマチックさと切なさをも見事につかんでいる、最高のネーミングセンスだと思います。
実はこのアルバムが作られた当時、バンドは大きな危機に瀕していました。アヴァンギャルドで実験的なアイデアを担当していたケヴィン・ゴドレイとロル・クレームの2人が突如脱退。世間では「4人いて10ccなんだから、2人抜けたら『5cc』じゃないか」なんて意地悪な揶揄をされたりもしていました笑
でも、残されたエリック・スチュワートとグラハム・グールドマンの2人はすごかった!マニアックで実験的な要素が減った分、彼らが元々持っていた「ポップで美しいメロディ」や「親しみやすい楽曲展開」がこれでもかと前面に押し出され、結果としてバンド史に残る屈指のメロディアスな傑作アルバムに仕上がりました。
ちなみに、海から上がったダイバーが女性を抱きかかえる印象的なジャケットを手掛けたのは、ピンク・フロイドなどでおなじみのデザイン集団「ヒプノシス」。このミステリアスで洗練されたアートワークも、アルバムの完成度をぐっと高めています。
収録曲
①グッド・モーニング・ジャッジ
②愛ゆえに
③マリッジ・ビューロー・ランデブー
④恋人たちのこと
⑤モダン・マン・ブルース
⑥ハネムーン・ウィズ・Bトゥループ
⑦フラット・ギター・テューター
⑧ユーヴ・ガット・ア・コールド
⑨フィール・ザ・ベネフィット
①アルバムのオープニングを飾る、ウキウキするようなポップ・ナンバー。軽快なギターが最高で、1曲目から「新生10cc、全然心配いらないじゃん!」と思わせてくれる安心感があります。
②言わずと知れた超大ヒット・シングル。邦題の元にもなった名曲です。コーラスの重なり、弾むようなリズム、曲の展開、どれをとっても完璧。ポップス職人としての10ccの真骨頂が詰まっています。
④これまた甘美で切ない名バラード。甘い歌声と、ドラマチックに盛り上がるメロディラインが胸にしみます。静かな夜にじっくり聴きたくなる一曲です。
⑨アルバムの最後を締めくくるのは、11分を超える3部構成の大作!プログレ的な展開を見せつつも、決して難解にならず、美しいメロディが優雅に流れていきます。アコースティックな響きからスケールの大きなオーケストレーションへと変化していく様は圧巻です。
実験的な面白さも10ccというバンドの魅力ですが、「やっぱりメロディが良い曲が好き!」という方には、間違いなくこのアルバムが最高傑作です。ヒプノシスの美しいジャケットを眺めながら、ポップス史に残る名曲の数々に耳を傾けてみてください!
ちなみに、脱退したゴドレイ&クレームの2人はというと、「音楽活動」としては10cc時代ほどの商業的な大ヒットには恵まれませんでした。
……が!彼らが才能を爆発させたのは、なんと「ミュージックビデオの監督」という全く別の分野だったんです!
80年代のMTVブームの中、彼らは監督として超売れっ子に。デュラン・デュランや、ハービー・ハンコック、さらには、かなでる名盤①で紹介した、坂本龍一&デヴィッド・シルヴィアン『禁じられた色彩』のミュージックビデオも、彼らが手掛けたことを付け加えておきましょう。
それではまた!