かなでる名盤⑯ ~クライメイト・オブ・ハンター~
音楽好きの当社代表が、不動産と同じ熱量を持って音楽を語るブログ「かなでる名盤」。
所有CDアルバムから定期的にご紹介させていただいております。
息抜きがてら、当社ブログでゆっくりしていってください。
今回取り上げるアルバムは
スコット・ウォーカー『クライメイト・オブ・ハンター』(84年発表)です。
前回の「ポップなアルバム」とは打って変わって、一気にディープでアヴァンギャルドな世界へ突入します笑

スコット・ウォーカーの名前を初めて聞いた方もおられると思います。実は彼、1960年代にはウォーカー・ブラザーズというグループにいて、あのビートルズと人気を二分(?)するほどの超絶大人気「トップアイドル」だったんです!甘いルックスと低音ボイスで、世界中の女の子たちをキャーキャー言わせていたわけですね笑
ところが、人間どこでどうスイッチが入るかわかりません。グループ解散後、彼は何を思ったか突如として独自の「アート系アーティスト」へシフト。アイドル時代のキラキラ感を完全に脱ぎ捨て、誰も真似できないディープでアヴァンギャルドな音楽を作り始めるようになります。その変貌ぶりとストイックな世界観は、のちのミュージシャンたちに計り知れない影響を与えました。
例えば、デヴィッド・シルヴィアンのあの耽美で静謐なソロ活動のルーツは間違いなくスコットにありますし、あのデヴィッド・ボウイにいたっては、スコットを熱狂的に崇拝していたことで有名です。このアルバムはそんなスコット・ウォーカーが1984年に発表した、彼の最高傑作です。
収録曲
①ロウハイド
②ディーラー
③トラック3
④スリープウォーカーズ・ウーマン
⑤トラック5
⑥トラック6
⑦トラック7
⑧ブランケット・ロール・ブルース
このアルバム、何が凄いって、全8曲のうち半分の曲にはタイトルすらついていません。トラック③⑤⑥⑦の曲名が、なんとそのまま「Track 3」「Track 5」「Track 6」「Track 7」となっているんです。「名前なんて飾りだ、音そのものを聴け!」というスコットのストイックな声が聞こえてきそうです笑
全体的に、うねるベースライン、硬質なドラムのリズム、じわじわと空間を侵食してくるようなシンセの音響、そこにスコットのオペラ歌手のような朗々とした、でもどこか冷たい低音ボイスが乗っかってくる展開です。曲はいわゆるサビで盛り上がる展開ではなく、1曲1曲がまるで音で描かれた抽象画を見ている気分になります。③⑤あたりは割と聴きやすいかもしれません。最後の⑧は毛色の違うギター弾き語りの異色曲で、静かに締めます。
ただスピーカーの前でこの音に圧倒されるだけで、極上の音楽体験ができる大傑作となっております。
…なのですが、実は一つ大きな問題があります。
これだけ素晴らしい、音楽史的にも重要なアルバムであるにもかかわらず、現在は廃盤状態が続いていて、めちゃくちゃ手に入りにくいレアアイテムと化しています。
もし、中古レコード屋さんやCDショップので発見したら迷わず「即買い」です!
元アイドルがすべてを投げ打って辿り着いた、究極の「大人のアヴァンギャルド・ロック」。
あなたの音楽観をガラリと変えてしまうかもしれません。
それではまた!